これまでの研究

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鈴木謙介研究室は、2009年の関西学院大学着任以来、「消費」を中心的な対象として研究を続けてきました。特に2012年以後、その年ごとの「重点テーマ」を設定し、オンタイムの事象と社会学を中心としたアカデミックな知見を組み合わせながら、現代の消費現象について検討を続けて参りました。

その一例を挙げると、以下のようなものです。

2023年「ポスト〈広告〉の時代」

広告産業は成長しているものの、広告を忌避したり、ブロックしたりする消費者も数多くいる現在。量的調査の結果から、「失敗したくない」という気持ちを持つ消費者は、商品の情報を公式サイトなどで調べる傾向にあることや、他者の意見に流されやすい人は、物語性のある広告に好感度を持つことなどを明らかにしました。

2022年「ハマる消費」

「推し活」などが注目される中、消費者はどのような心理的スイッチを押されると「ハマる」のかを研究。特定の商材に特化した再現性のない研究ではなく、消費者の普遍的な心理と、企業の戦略が合致するポイントを探りました。その結果、消費者の「ハマるスイッチ」には、7種類の心理傾向があることが分かりました。

2021年「ブランド」

従来の広告・マーケティング戦略が曲がり角を迎える中、消費者はどのようにして商品を認知するのかを研究しました。研究の過程で、若者に人気のカフェであっても企業側のメッセージはほとんど受け取られていない一方、消費者自身の思い入れや思い出といった要素がブランドの基盤となっていることが明らかになりました。

2020年「エンタメ消費」

コロナ禍で様々なエンタメがオンラインで配信されるようになる中、オーディエンスはいかにして「臨場性」を感じているのでしょうか。私たちは、たとえ配信技術がローファイであっても、送り手と受け手の間で、その場で行われていることの意味、すなわち「状況の定義」が共有されるとき、エンタメの臨場性が高まることを発見しました。

2019年「時間消費」

滞在時間の付加価値を高めることは、商業施設にとって非常に重要な課題です。私たちは、消費者が時間短縮、効率化を志向するだけでなく、できるだけ長い時間を消費に費やしたいと考える傾向もあることを突き止めました。この年、大手代理店の研究テーマとも関心が重なり、シンポジウムで成果の発表も行いました。

このように、私たちの研究活動はアカデミックな範囲に留まらず、実務的インプリケーション、あるいは社会全体を見据える視座を提供する活動を行っています。

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